トラックを安全に駐車するために欠かせないサイドブレーキ。しかし、サイドブレーキが解除できないトラブルが発生すると、業務に支障をきたすだけでなく、大きな事故につながる可能性もあります。
今回は、トラックのサイドブレーキが解除できない原因やその対処法について詳しく解説します。万が一のトラブル時に冷静に対応できるよう、事前に知識を身につけておきましょう。
サイドブレーキの役割と基本構造
サイドブレーキ(正式名称:パーキングブレーキ)は、トラックを駐車時に固定するための重要な装置です。また、通常のブレーキシステムに異常が発生した際には、緊急時のブレーキとしても機能します。
トラックのサイドブレーキには、主に以下の2つの制御方式があります。
1. ワイヤー制御方式
レバーやペダルでワイヤーを引っ張ることで、後輪ブレーキを作動させる方式です。乗用車にも採用されている一般的なシステムで、比較的シンプルな構造をしています。
2. エア制御方式
エアブレーキを搭載した大型トラックに採用されている方式で、圧縮空気を利用してブレーキの制御を行います。空気圧の変化によってブレーキのON/OFFを切り替えるため、ワイヤー制御方式よりも強力なブレーキ力を持っています。
サイドブレーキが解除できない原因
サイドブレーキが解除できない主な原因は、制御方式によって異なります。それぞれのシステムにおいて考えられる原因を確認してみましょう。
1. ワイヤー制御方式のトラブル
- ワイヤーの劣化・損傷:長期間使用していると、ワイヤーが錆びたり摩耗したりして動きが悪くなることがあります。
- ワイヤーの凍結:寒冷地では、ワイヤーに水分が付着し、凍結して動かなくなることがあります。
- ブレーキシューの固着:ブレーキシューが錆びや汚れによって固着し、ブレーキが解除できなくなることがあります。
2. エア制御方式のトラブル
- エア圧の低下:ブレーキを解除するためには一定のエア圧が必要ですが、エア漏れや圧縮機の故障によってエア圧が低下すると解除できなくなります。
- エアドライヤーの故障:エアブレーキシステムの水分を除去するエアドライヤーが機能しないと、エアライン内に水分が溜まり、凍結や動作不良の原因になります。
- バルブの詰まり:エアの流れを制御するバルブが汚れや異物で詰まると、正常に作動しなくなることがあります。
サイドブレーキが解除できない場合の対処法
トラブルが発生した場合は、冷静に以下の手順で対処しましょう。
1. ワイヤー制御方式の場合
- 軽く叩いてみる:固着している可能性がある場合は、ブレーキ周りを軽く叩くことで解除できることがあります。
- 温める:寒冷地での凍結が原因の場合は、ワイヤー部分を温めることで解除できることがあります。
- ワイヤーの潤滑:ワイヤーに潤滑剤を吹きかけることで、動きをスムーズにすることができます。
- 整備工場に相談する:上記の対処法で解決しない場合は、無理に操作せず整備工場に相談しましょう。
2. エア制御方式の場合
- エア圧を確認する:エアゲージをチェックし、エア圧が低下していないか確認しましょう。
- エア漏れの点検:エアホースやバルブからエア漏れがないかチェックし、必要に応じて修理を行います。
- エアドライヤーの確認:エアドライヤーが正常に機能しているか確認し、フィルターの交換や水分排出を行います。
- 整備工場で診断を受ける:エアブレーキシステムは専門的な知識が必要なため、異常が解決しない場合は整備士に診てもらいましょう。
サイドブレーキの故障を防ぐための予防策
サイドブレーキのトラブルを未然に防ぐために、以下の予防策を実践しましょう。
1. 定期的な点検とメンテナンス
- ワイヤーの摩耗やサビをチェックし、必要に応じて交換する。
- エアブレーキシステムのエア漏れやエアドライヤーの状態を点検する。
- ブレーキシューやパッドの摩耗状態を定期的に確認する。
2. 冬季の凍結対策
- ワイヤー部分に防錆剤を塗布し、凍結を防ぐ。
- エアライン内の水分を定期的に排出し、エアドライヤーの機能を維持する。
3. 経年劣化を考慮した買い替え
トラックのサイドブレーキは長期間使用すると必ず劣化していきます。サイドブレーキの異常が頻発するようなら、トラックの買い替えや買取査定を検討するのも一つの選択肢です。
まとめ
トラックのサイドブレーキが解除できなくなる原因は、ワイヤー制御方式とエア制御方式で異なります。ワイヤーの摩耗や凍結、エア圧の低下など、さまざまな要因が考えられるため、日頃から定期的な点検とメンテナンスを行うことが重要です。
万が一サイドブレーキのトラブルが発生した場合は、冷静に原因を特定し、適切な対処を行いましょう。また、経年劣化が進んでいる場合は、トラックの買取査定や買い替えを検討するのもおすすめです。
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