ディーゼルエンジンを搭載したトラックの燃費効率や排出ガスのクリーン化に大きく貢献している「コモンレールシステム」。
トラックの性能向上に欠かせないこのシステムですが、具体的にどのような仕組みなのか、ご存知でしょうか？
本記事では、コモンレールシステムの特徴や歴史、仕組みを詳しく解説していきます！
トラックのメンテナンスや中古トラックの買取・購入を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
コモンレールシステムとは？ディーゼルエンジンの進化を支える技術
コモンレールシステムとは、ディーゼルエンジンの燃料噴射を制御する装置です。
従来の燃料噴射システムと異なり、一度に高圧で蓄えた燃料を細かく分配して噴射できるのが特徴です。
✅ コモンレールシステムの主な役割
- 高圧の燃料を蓄えておき、最適なタイミングで噴射
- エンジンの回転数や負荷に応じた燃料供給を実現
- 燃焼効率を向上させ、黒煙（PM）の排出を削減
- エンジンの騒音を低減し、スムーズな走行を実現
この技術により、トラックの燃費性能が向上し、排出ガス規制にも対応しやすくなりました。
コモンレールシステムの歴史と進化
1995年に本格採用！従来の噴射システムからの進化
コモンレールシステムが登場する前は、「分配型燃料ポンプ式」が主流でした。
しかし、この方式には以下のような問題点がありました。
🚛 エンジン回転数に依存するため、燃料噴射の自由度が低い
🚛 加速時に黒煙（PM）を発生しやすい
🚛 燃費性能が低く、環境負荷が大きい
こうした課題を解決するため、1995年にコモンレールシステムが本格的にトラックに採用されました。
このシステムでは、燃料を高圧で蓄えた「レール（蓄圧室）」からインジェクターへ供給し、エンジン回転数や負荷に関係なく最適な噴射が可能になったのです。
結果として、
✅ 燃焼効率が向上し、燃費が改善
✅ 黒煙（PM）の排出が抑えられ、環境負荷を低減
✅ エンジンの静粛性が向上し、スムーズな加速が可能
といった大きなメリットが得られるようになりました。
コモンレールシステムの仕組み
コモンレールシステムは、大きく4つの主要パーツで構成されています。
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
✅ 1. 高圧ポンプ
まず、燃料タンクから燃料を吸い上げ、最大1,800気圧の高圧で加圧する役割を持つのが「高圧ポンプ」です。
この圧力により、燃料は細かいミスト状になり、燃焼効率が大幅に向上します。
✅ 2. コモンレール（蓄圧室）
「コモンレール」とは、ポンプから供給された高圧燃料を一時的に蓄えるための装置です。
エンジン回転数や負荷の変化に関係なく、常に安定した高圧燃料をインジェクターに供給します。
✅ 3. インジェクター（燃料噴射装置）
インジェクターは、各気筒に設置されており、ECUの制御により最適なタイミングで高圧燃料を噴射します。
噴射のタイミングや量を細かく調整することで、よりクリーンな燃焼を実現します。
✅ 4. ECU（エンジンコントロールユニット）
ECUは、エンジンの回転数・負荷・温度などをリアルタイムで監視し、噴射タイミングや燃料量を精密に制御します。
これにより、トラックの走行状況に応じた最適な燃料供給が可能になります。
コモンレールシステムの5回の燃料噴射とは？
コモンレールシステムでは、1回の燃焼プロセスの中で最大5回の噴射を行うことができます。
それぞれの噴射がどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。
1️⃣ パイロット噴射 → 着火前に空気と燃料を混合し、燃焼音を低減
2️⃣ プレ噴射 → 燃焼温度をゆっくり上昇させ、PM（スス）の発生を抑制
3️⃣ メイン噴射 → エンジンの出力を決定するメインの燃料噴射
4️⃣ アフター噴射 → メイン噴射後の燃え残りをなくし、燃焼効率を向上
5️⃣ ポスト噴射 → 排気管に燃料を供給し、DPF（ディーゼル微粒子フィルター）の目詰まりを防止
このように、コモンレールシステムは単なる燃料噴射ではなく、環境対策やエンジン性能向上にも大きく貢献しています。
トラックのコモンレールシステムのメリット
💡 燃費効率の向上 → 最適な燃料噴射で無駄を省き、燃料コストを削減
💡 黒煙（PM）の低減 → 排ガスがクリーンになり、環境への負荷を軽減
💡 エンジンの静粛性UP → 燃焼音を抑え、スムーズな走行を実現
💡 エンジン寿命の延長 → 無駄な燃焼を減らし、部品の摩耗を軽減
このシステムを正しく理解し、適切なメンテナンスを行うことで、トラックの性能を最大限に引き出すことができます。
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