トレーラーは大量輸送を可能にする重要な車両ですが、用途によってさまざまな種類が存在します。牽引方法や積載物の違いにより、形状や機能が異なるため、用途に合ったトレーラーを選ぶことが大切です。
本記事では、トレーラーの基本的な構造から、代表的な種類ごとの特徴まで詳しく解説していきます。
トレーラーとは？トラックとの違い
トレーラーとは、自走する機能を持たず、トラックに牽引されて走行する貨物車両のことです。牽引する車両を「トラクター（トレーラーヘッド）」、牽引される車両を「トレーラー（被牽引車）」と呼びます。
通常のトラックはエンジンや駆動系を備えた単独で走行可能な車両ですが、トレーラーは動力を持たず、トラクターと連結しないと走行できません。この構造により、一般的なトラックよりも大容量の貨物を効率よく運搬することが可能です。
セミトレーラーとフルトレーラーの違い
トレーラーは大きく分けて「セミトレーラー」と「フルトレーラー」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
セミトレーラー
- 日本で最も多く使用されているタイプ
- 後部の車軸のみで前輪を持たず、トラクターと連結しないと走行不可
- トラクターの連結部分が荷台の重量を支えるため、安定性が高い
- 全長規制は18mまで
フルトレーラー
- 前後に車軸を持ち、トレーラー単体で重量を支えられる構造
- 連結時の全長規制は25mまでと長く、一度に大量の貨物を輸送可能
- 直進安定性が高く、大量輸送に適している
- 牽引方法により「ドリー式」と「センターアクスル式」に分かれる
フルトレーラーは、道路環境の制約がある日本では導入が少なく、セミトレーラーの方が一般的に普及しています。
シングル（1デフ）とダブル（2デフ）の違い
セミトレーラーには、駆動輪の後輪が1軸の「シングル（1デフ）」と、2軸の「ダブル（2デフ）」の2種類があります。
シングル（1デフ）
- 駆動軸が1本のタイプ
- 長距離輸送向けで、スムーズな走り出しが可能
- 車体がやや短いため、小回りに優れる
ダブル（2デフ）
- 駆動軸が2本のタイプ
- 荷重の大きい重量物の輸送に適している
- 圧雪や凍結した悪路でも安定した走行が可能
運搬する貨物の重量や走行する環境によって、適切な駆動方式を選ぶことが重要です。
トレーラーの種類と特徴
トレーラーには多様な種類があり、それぞれ特定の用途に適しています。代表的なトレーラーの種類を紹介します。
① スタンション型トレーラー
- 荷台にスタンション（支柱）やワイヤーフックを備えたタイプ
- 木材や鋼材、コンクリート製品など長尺物の輸送に最適
② あおり型トレーラー
- 荷台の側面にあおり（壁）を備えたタイプ
- 固縛用（ロープで固定しやすいタイプ）と非固縛用（積み上げやすいタイプ）の2種類がある
- 雑貨や瓦、スクラップの運搬に使用
③ 船底型トレーラー
- 荷台の中央部がくぼんだ形状で安定性が高い
- コイル状の鋼材など、円筒形の荷物を輸送するのに適している
④ コンテナ型トレーラー
- コンテナ輸送専用のトレーラーで、ツイストロック装置を備えている
- 海上コンテナや物流コンテナの輸送に広く使用
⑤ バン型トレーラー
- 箱型の荷台を持ち、貨物を雨風から守る構造
- 側面が開くウイングタイプや、後部・側面に扉があるバンタイプがある
- 一般的な雑貨輸送や冷蔵食品輸送に多く使用
⑥ タンク型トレーラー
- 液体や粉粒体を輸送するためのタンクを搭載
- ガソリン、液化ガス、粉末セメントなどの運搬に使用
⑦ 自動車運搬型トレーラー
- 自動車を複数台運ぶための専用設計
- 1台でも多く積載できるように特殊構造が施されている
⑧ 幌型トレーラー
- 荷台の上部に骨組みを設けて幌をかぶせたタイプ
- 荷物を雨や日光から保護できるため、様々な貨物に対応
このように、用途に応じて多種多様なトレーラーが用意されているため、運搬する荷物に最適なタイプを選ぶことが重要です。
トレーラーのメリットと導入のポイント
トレーラーには、一般的なトラックに比べて多くの利点があります。
✅ 大量輸送が可能 – 一度に多くの貨物を運搬できるため、輸送効率が高い
✅ 柔軟な運用が可能 – トラクターと切り離して使用でき、稼働の自由度が高い
✅ 燃費コストの削減 – 長距離輸送において、トラック単体よりも燃費効率が向上
導入を検討する際には、荷物の種類や走行距離、使用環境などを総合的に考慮し、適切なトレーラーを選ぶことが大切です。
まとめ – 最適なトレーラーを選ぶために
トレーラーは、自走機能を持たず牽引される貨物車両であり、用途に応じてさまざまな種類が存在します。
- セミトレーラーとフルトレーラーの違いを理解する
- シングル（1デフ）とダブル（2デフ）の選択肢を検討する
- 輸送する貨物に応じた適切なトレーラーの種類を選ぶ
用途や運搬する荷物に最適なトレーラーを選ぶことで、より効率的な輸送が可能になります。
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